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Engadget Logo エンガジェット日本版 骨伝導イヤホンなのに音楽が愉しい。Shokz OpenRun Pro先行レビュー

米ラスベガスでのCESで発表されたShokz(旧ブランド名:AfterShokz)の「OpenRun Pro」が、日本でも2万3880円で販売される。それに先立ち1月10日10時にGREEN FUNDINGで先行割引販売が開始された。

プランにより割引率は異なるが、結論から言うと”すごくオススメ”。大きな進化を果たしているので、骨伝導イヤホンが気になっている読者ならクラウドファンディングでの発注はかなりお得だ。ひと足先に触れる機会があったのでレビューをお届けしよう。

音楽が愉しい初めての骨伝導イヤホン

OpenRun Proをオススメする理由は音楽が愉しめるレベルまで音質が上がっていること。まるで魔法のように”普通に音楽として聴ける”音を感じられる。骨伝導イヤホンを経験したことがある人ならば、耳を塞がない快適な装着性を知っている一方、低音が弱く、再現性が低いことを知っているはずだ。

Shokzの製品は業界のトップランナーということもあり、第8世代骨伝導技術のPremiumPitch+ 2.0を採用した前世代モデルのAeropexでは、中域以上の音質がとても良くなっていたが、そんなAeropexでも低域についてはボリューム感、周波数特性ともに十分ではなく、音楽の土台となる”音場表現”が難しかった。

ところが、OpenRun Proで採用されている第9世代骨伝導技術のTurboPitchでは、音楽の雰囲気、気配のようなものを感じさせるようになっている。骨伝導イヤホンを知っている人ほど、この大幅な音質改善に驚くはずだ。

その上で、前モデルのAeropexよりも20%小型化され、バッテリー持続時間も最大8時間から最大10時間に延長されている。もちろん、骨伝導イヤホンの特徴である快適性はそのまま。従来のShokz製品と同様に防塵防滴性能が高く、メガネをかけながらでも快適である。

商品価値になんら影響を与えることなく、音楽の表現力だけが向上した。ここで断言したい。OpenRun Proは”音楽が愉しいと感じられる初めての骨伝導イヤホン”だ。

骨伝導でも低域が再生できるワケ

TurboPitchの基本的な動作部(トランスデューサ)は、実は第8世代技術とほぼ同じなのだという。しかし新しい技術ではトランスデューサをCoreCushionと呼ばれるスピーカーのエッジに近い可動部で覆う構造になっている。

トランスデューサは頭に音を伝えるため振動しているが、これがCoreCushionに動きを与えて(振動板となって)いる。この現象を利用して振動を二重にした防水メッシュを通じて耳元に送ることで、中低域から低域にかけての音を感じさせる。

文字で書くと簡単そうだが、実際には位相差(低域と骨伝導で伝える音の間の時間差)を合わせたり、周波数特性を整えたりと信号補正ノウハウは膨大なものだと想像する。一般的な骨伝導イヤホンとの特性差を見れば、どれだけの大きな違いかが想像できるだろう。

しかし、骨伝導イヤホンを使い慣れた人ならば、ここでもうひとつの疑問が出てくるかもしれない。それは”音漏れが大きいのではないか”という疑惑。ところが、驚くべきことにOpenRun Proは音漏れが”増えていない”のだ。

メッシュで囲まれてるのに音漏れが増えないワケ

音は言うまでもなく空気の振動だが、通常の骨伝導イヤホンは頭蓋骨を通じて振動を伝え、音を感じさせる。この振動はなるべく空気を動かさない(音漏れしない)ようにすることが望ましい。

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エンガジェット日本版 骨伝導イヤホンなのに音楽が愉しい。Shokz OpenRun Pro先行レビュー

Shokzの製品も世代を重ねて音漏れが減ってきた歴史がある。とはいえ新しい技術では低音を増強しているのだから音漏れは増えそうなものだ。それなのに音漏れは増えていない。

その理由は音漏れを打ち消すよう設計されているから。OpenRun Proのトランスデューサを見ると、外耳道への入り口に向いた開口部以外に、上部、下部、前方の3面にも同様の二重メッシュを使った防水の開口部がある。この3つの開口部はトランスデューサからの距離、位置、大きさが計算されて設計されており、逆位相で打ち消しあうことで音漏れを低減しているのだとか。

骨伝導イヤホンは原理的に音漏れを根絶することはできない。実際、OpenRun Proでも静かな部屋で近傍に誰かがいれば、音漏れを感じるだろう。しかし、盛大に漏れることはない。

例えば電車の中ならば、電車のノイズにマスキングされるだろう。そこまで行かなくとも街中でOpenRun Proの音漏れに気づく人はいないはずだ。カフェでのノマドワークの場合だとしても周囲の色々な人の出す音などと混じり合い、周りの人がほとんど感じることはないと思われる。

厳密に言えば音は漏れるが、実用上の問題になるシーンは、例えば図書館内で利用する際に近くの人が気づく程度ではないだろうか。

ランニングだけでなくテレワークで使ってほしい

OpenRun Proはその名称のとおり、ランニング時に適した製品であることは間違いない。汗をかいても快適性は損ねないし、耳をふさがいないため周囲の状況が把握しやすい。音質面が大幅に向上したことで、高音質イヤホンとは比べるべくではないものの、長時間、装着し続けても不快にならない特徴は他に比べられる製品がない。

とりわけテレワークで自宅作業が多い人ならば、迷う必要はないと思う。家族など周囲にいる人に気を遣わせることなく音楽を楽しみながら作業し、テレワークにもそのまま参加できる。

ShokzにはOpenCommというムーブマイク付きのオンライン会議むけ骨伝導ヘッドセットがあるが、比べてみたところOpenRun Proの内蔵マイクの方が音質、周囲のノイズを遮断する能力が高い。マイクは口の方向と横方向、2つの方向に取り付けられており、周囲のノイズをキャンセルする機能がある。同様の昨日はOpenCommにもあったが、より進化したということだろうか。

テレワークでは家族と共に過ごしながら仕事環境も用意せねばならないため、生活音を気にするひとも多い。もちろん完全ではないが、OpenRun Proなら他者に不快な思いをさせることはないはずだ。

音楽を身に纏いながら生活、スポーツしたい人に

大幅に音質が改善されたと書いたが、もちろん、高音質な近年のカナル型ワイヤレスイヤホンやヘッドフォンと同等というわけではない。音楽を楽しめるレベルだが、純粋に音質を求めるなら通常のイヤホン、ヘッドフォンを検討すべきだろう。

しかしOpenRun Proは、そうした製品とは全く異なるジャンルだと考えて欲しい。第8世代技術を使ったAeropexやOpenCommにも驚かされたが、OpenRun Proは”音楽を身に纏う”という表現が似合う素敵な製品だ。

骨伝導イヤホンは振動させるトランスデューサの消費電力にバッテリー持続時間が依存するため、最大10時間でも音量を上げるに従って駆動時間は短くなる。しかし本機は残量ゼロから20分で60%、30分で90%までの急速充電が可能。これなら、ちょっとした隙間に充電することで、一日中使い続けることができる。

生活の中で常に音楽と共にありたい人、スポーツを嗜んでいる際にも音楽を手放したくない人。そんな人に試してほしい。

まさか骨伝導イヤホンで、演奏の気配や音場の大きさを感じることがあるとは想像できなかった。”骨伝導”のイメージを大きく変える製品になりそうだ。