ソニーの穴あきイヤホン「LinkBuds」...

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ソニーの穴あきイヤホン「LinkBuds」は音楽も周囲の音もしっかり聞こえる新感覚

ソニー「LinkBuds WF-L900」

ソニーの穴あきイヤホン「LinkBuds」は音楽も周囲の音もしっかり聞こえる新感覚

音楽リスニングやテレワークでのオンライン会議中、周囲の音が聞こえずに自分を呼ぶ家族の声やインターホンの音に気づかかった、なんてことはよくあります。そんな世相を踏まえた、外の音が聞こえるソニーの新発想完全ワイヤレスイヤホン「LinkBuds WF-L900」(ソニーストア価格:2万3100円)が2月25日に発売されました。【すべての写真を見る】同じく外の音が聞ける完全ワイヤレスイヤホン型デバイスとしては、ソニーの関連会社であるambieのイヤーカフ型イヤホン「sound earcuffs AM-TW01」という製品があります。一方、新しく登場するソニーの「LinkBuds WF-L900」は、音を出す振動板の真ん中に穴をあけた“リング型ドライバーユニット”を採用した、これまでになかった新スタイル。そんな斬新な完全ワイヤレスイヤホン「LinkBuds WF-L900」の実機をチェックしていきます。

最高の音質ではないけれど

本来耳穴を塞いでしまうドライバーユニットがドーナツのように穴があいているので、イヤホンからの音も聴けて、周囲の音も聞けるという仕組み

製品カテゴリとしては完全ワイヤレスイヤホンで間違いないのですが、音を鳴らすドライバーユニットと基盤部を横に繋げた独自の形状になっています。本来耳穴を塞いでしまうドライバーユニットがドーナツのように穴があいているので、イヤホンからの音も聴けて、周囲の音も聞けるという仕組みです。少し見づらいですが“リング型ドライバーユニット”側が耳穴に来ていて、基盤部分は一般的なイヤホンと同じ位置にピッタリ収まっています。ちなみに耳の溝にハメ込むような装着法で、イヤーピースがないので若干隙間のある状態です。フィッティングサポーターは5サイズ付属しますが、シリコン製で固定は強くありません。スマホとはBluetooth接続で、SBC/AACコーデックに対応。ハイレゾ対応などはありません。バッテリーは本体のみで5.5時間、ケース充電込みで合計17.5時間。10分の充電で90分再生可能なクイック充電にも対応しています。本体のみで連続再生が5.5時間は、今となってはあまり長い方ではなく、また連続通話時間は約2.5時間と短いので要注意。「LinkBuds WF-L900」のコンセプトは“着けっぱなしで音楽を流したり、オンライン会議をしたりして一日一緒に生活する”。ということで、まず自宅で試してみたのですが、音楽の聴こえ具合、周囲の音の聞こえ具合としては大いにアリだと感じました。無音にすると、穴を通して周囲の音がほぼ通常通り聞こえます。そして音楽を流すと、音量次第ですがイヤホンから流れる音と周囲の音がミックスして聞こえるようになります。動画に集中しつつ宅配便が来たり、ペットが悪戯をしたりといった周囲の様子が分かるのはいいですね。気になる音質は、iPhoneとペアリングしてチェックしてみましょう。宇多田ヒカル『あなた』を聴くと、フワっと音が浮く感覚もありますが、広域まで自然で音空間に包まれるように情報も出るタイプ。低音のリズムの刻みもほどほどに感じられます。ただ、高音質なイヤホンというより、ナチュラル系に音楽を聴くインナーイヤー型イヤホンのようなサウンドです。BrunoMarsの『24K Magic』も低音を音空間として展開してくれて、上手く雰囲気で再現してくれます。以前検証したambie「sound earcuffs AM-TW01」は耳の外から音導管で音を流すので、遠くでBGMが流れている感覚だったのですが、この「LinkBuds WF-L900」は一般的なイヤホン寄り。ただし、最近主流のカナル型(耳栓型)ではなく、耳に乗せるタイプのインナーイヤー型に近いように思えました。そしてユニークなのが操作方法。イヤホン本体だけでなく顔を指で2、3回タップする“ワイドエリアタップ”に対応。初期設定では2回タップが左右とも再生/一時停止です。耳のあたりを2回タップすると音楽が流れ始めるって不思議な感覚。操作内容はアプリから変更できます。タップ操作を音量、Quick Accessの設定でSpotify Tap、なんてことも可能です。ただ、しばらく使っていて感じたのですが、装着しっぱなしのスタイルは無理があるかも…。いくら周囲の音が聞こえるとはいえ、イヤホン装着の違和感はあるので、つい外したくなります。それに連続再生5.5時間、通話時間2.5時間って一日というには短いですよね。気になる“音漏れ”ですが、電車内で試してみたところ、周囲への音漏れはせず、電車の騒音は聞こえて、車内アナウンスもほぼ気づけます。音漏れしないギリギリを攻めるならiPhoneの音量で6か7くらい。アナウンス内容も聞くなら、あと1か2くらい音量を下げると良さそう。そして当然なんですが、イヤホンには穴があいていてノイズキャンセルもないので、電車の走行音は飛び込んできます。とはいえ、音楽リスニングを妨げるということはありませんでした。また気になる利用シーンとして、PCとペアアリングしてのオンライン会議もありますよね。MacBook Airと接続してZoomを試してみたのですが、相手の通話音声が直接響くようで、クリアさや聞きやすさは抜群。マイク音質も良く、“AI技術を活用した高精度ボイスピックアップテクノロジー”で周囲の音を拾わないので、ビジネスツールとしても優秀です。そして相性の良さを感じたのが、音楽、動画、ゲームなど空間を感じるコンテンツ。Amazon MusicとDeezerで利用できるソニーの空間オーディオ“360 Reality Audio”の認定モデルにもなっているので対応楽曲を聴いてみたら、頭の周囲に音が広がる効果も優秀でした。

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